特約店契約書の書き方〔雛形と例文〕

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特約店契約書【無料の雛形・書式・テンプレート】

特約店契約は、生産者が自己製品の販路の確保を目的として、特約店に対し製品を供給し、特約店が他の小売店や消費者にこれを販売することを内容とする契約です。

特約店契約書のサンプル(見本)

特約店契約書

  ○○工業株式会社(以下「甲」という)と××商事株式会社(以下「乙」という)は、甲の製造にかかる後記商品(以下「本件商品」という)の売買につき、次のとおり特約店契約を締結した。甲および乙は、相協力して、甲の本件商品の販路の維持・拡張に努めるとともに相互に相手方の立場を尊重し、この取引関係の円滑を期するものとする。

第1条(特約店の指定) 甲は、乙を、本件商品の販売に関する特約店と定め、これに対し、第2条に定める地域において独占的に本件商品を販売する権利を与える。

第2条(販売地域) 乙が本件商品を販売する地城は、○○県、○○県および○○県とする。

第3条(乙の権限) 乙は、本件商品を販売するにあたり、甲の特約店である旨を表示することができる。

2 乙は、甲より購入した本件商品を、自己の適当と認める条件で第三者に販売するものとする。

3 乙は、本件商品を自己の名と計算において販売するものとし、いかなる場合においても甲を代理するものではない。

第4条(不作為義務) 甲は、第2条の地域においては、自ら商品を販売せず、かつ、乙以外の特約店を設置しないものとする。

第5条(商品の発注・納品等) 甲乙間における商品の発注方法、納入方法、納入場所、納品、検品に関する事項については、別途両者の協議により定めるものとする。

第6条(代金の支払) 乙は、甲より引渡を受けた本件商品の売買代金を、毎月末日締め翌月末日限り、甲の指定する銀行口座に振込送金する方法によって甲に支払うものとする。

第7条(所有権および危険負担) 本件商品の所有権は、当該本件商品が甲より乙に引き渡された時に甲より乙に移転する。

2 本件商品の引渡完了後は、乙がそれに関するすべての危険を負担する。

第8条(担保責任) 乙は、甲より購入した本件商品に甲の責に起因する隠れた瑕疵を発見したときは、当該本件商品の引渡後6か月内に限り、甲に対し代替品との交換を請求することができる。

第9条(担保) 乙は、甲の請求があるときは、直ちに甲の承認する第三者に乙の債務を連帯保証させ、甲の承認する担保物件を差し入れるなど、甲の請求する担保措置を講ずるものとする。

第10条(譲渡の禁止) 乙は、甲の書面による事前の同意を得ない限り、本契約上の地位もしくは本契約または個別契約にもとづく一切の権利または義務を第三者に譲渡しもしくは担保の目的に供してはならない。

第11条(契約解除) 乙につき次の各号の一に該当する事由が生じたときは、甲は何らの通知催告を要せず直ちに本契約を解除することができるものとする。

  • ① 本契約または個別契約に違反し、甲が相当の期間を定めて是正を催告したにもかかわらず、当該期間内に是正がなされないとき
  • ② 自ら振り出しまたは裏書きした手形または小切手が1通でも不渡りとなったとき
  • ③ 破産、民事再生手続きまたは会社更生の中立をなし、または第三者からこれらの申立がなされたとき
  • ④ 自らの債務不履行により、差押、仮差押、仮処分等を受けたとき
  • ⑤ 公租公課の滞納処分を受けたとき
  • ⑥ 解散、合併、営業の全部または重要な財産の一部の譲渡を決議したとき
  • ⑦ 財産状態が悪化し、または悪化するおそれがあると認められる相当の事由があるとき

第12条(有効期間) 本契約は、調印の日より2年間効力を有するものとする。ただし、期間満了3か月前までに甲乙いずれからも別段の申出のないときには、さらに1年間延長するものとし、以後も同様とする。

第13条(契約終了時の措置) 本契約が終了したときは、乙は直ちに甲の特約店である旨の表示を中止するものとし、以後甲の特約店である旨を表示してはならない。

第14条(合意管轄) 本契約上の紛争については、甲の本店所在地を管轄する地方裁判所を第一審の管轄裁判所とすることに合意する。

  以上、本契約を証するために本書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、各1通を保有する。

平成○年○月○日

東京都○○区○○町○丁目○番○号

甲 ○○株式会社

代表取締役 ○○○○ 印

東京都○○区○○町○丁目○番○号

乙 △△株式会社

代表取締役 △△△△ 印

排他的特約店契約条項

特約店契約には、排他的特約店契約条項が入れられることがあります。排他的特約店契約条項とは、特約店が供給者の競争者の製品を取り扱わない旨の契約です。これは、排他的条件付取引として、内容が不当なものである場合には、不公正な取引方法として独占禁止法によって禁止されます(独占禁止法第19条)。本契約書ではそのような条項は入れていません。

特約店地域別協定

特約店地域別協定とは、生産者が相手方に一手販売権を付与し、一定地域内では他の販売業者には自己の製品を供給しないことを約する契約です。これは、独占禁止法上は、禁止されていないと解されています。一手販売権の付与とともに、販売活動をなす地域を限定するのが販売地域協定です。販売地域協定がなされると、販売業者は、所定の地域においては当該生産者の製品について独占的地位を占めることになります。本書式では、第2条が地域協定、第4条が特約店地域別協定です。

独占禁止法

メーカーが販売価格を指定することは、独占禁止法に抵触するので、抽象的表現にとどめるのが無難です(第3条第2項)。

品質保証

メーカーは製品について品質を保証し、製品に欠陥があったときは、責任を負います。本書式では良品との交換にとどめています(第8条)

代金債権の確保

継続的に製品を供給するので、メーカーにとっては代金債権の確保が重要な課題となります。保証金、連帯保証、質権、根抵当権などの担保の設定について、別途契約書を作成するのがよいでしょう。

契約を解除

相手方に契約違反があったり、手形不渡りなどの信用不安が生じたときには、直ちに契約を解除して製品の供給を停止するとともに、債権保全の措置をとれるようにしておく必要があります。