準消費貸借契約書の書き方〔雛形と例文〕

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準消費貸借契約【無料の雛形・書式・テンプレート】

準消費貸借契約とは、もともとは金銭の貸し借りではない売掛金債務のようなものを、金銭の貸し借りの形に切り換えるもので、債務の一時猶予などを目的としています。本書式は、甲乙間の取引により乙が売掛金債務を負担している場合において、その債務を貸金の形に切り換えるもので、この準消費貸借契約にあたります。

準消費貸借契約書のサンプル(見本)

準消費貸借契約書

  ○○株式会社を甲、△△商事株式会社を乙、××興産株式会社を丙として、各当事者間において、乙の甲に対する○○○○の売掛金債務に関して、次のとおり準消費貸借契約を締結した。

第1条(債務の確認) 乙は甲に対し、平成○年○月○日現在において○○の継続的取引にもとづく未払売掛債務金○○○○円が存することを確認する。

第2条(準消費貸借) 甲および乙は、乙が負担する前条の売掛金債務を金銭消費貸借の目的とすることに合意する。

第3条(弁済) 乙は、甲に対し、前条により発生した債務を次のとおり分割して甲に持参または送金して支払う。

  • ① 平成○年○月から平成○年○月まで毎月○日限り金○○○○円宛
  • ② 平成○年○月○日限り金○○○○円宛

第4条(利息) 利息は年○○分とし、毎月末日限り当月分を支払う。

第5条(遅延損害金) 期限後または期限の利益を失ったときは、以後完済に至るまで、借主は貸主に対し、残元金に対する年○%の割合による遅延損害金を支払う。

第6条(連帯保証) 丙は、第2条にもとづき乙が負担する債務につき、乙と連帯してこれを保証する。

第7条(期限の利益の喪失) 乙または丙について次の事由の一つが生じた場合には、甲からの通知催告がなくても、乙および丙は当然に期限の利益を失い、直ちに残額すべてを支払う。

  • ① 債務の支払いを1回でも怠ったとき
  • ② 他の債務につき仮差押、仮処分または強制執行を受けたとき
  • ③ 公租公課の滞納処分を受けたとき
  • ④ 他の債務につき競売がなされたとき
  • ⑤ 破産、民事再生手続き、会社整理または会社更生手続き開始の申   立がなされたとき
  • ⑥ 乙の振出、裏書、保証にかかる手形・小切手が不渡りとなったとき

第8条(合意管轄) 本件に関し万一紛争が生じたときは、甲の住所地の地方裁判所を第一審の管轄裁判所とすることに各当事者は合意した。

  以上本契約の成立を証するため本書3通を作成し、甲乙丙記名捺印の上、各1通を保有する。

平成○年○月○日

東京都○○区○○町○丁目○番○号

甲 ○○株式会社

代表取締役 ○○○○ 印

東京都○○区○○町○丁目○番○号

乙 △△株式会社

代表取締役 △△△△ 印

準消費貸借契約書の利点

何本も債権が存在する場合にそれらの存在を確認した上で、これを1本の債権にまとめることは、法律関係の明確化の点からは望ましいといえます。また、債権者にとってみれば、売掛金債権の消滅時効期間は2年と短いのに対し(民法第173条)、準消費貸借契約の債権だと消滅時効期間は、通常の民法上の債権であれば10年(民法第167条)、商事債権の場合でも5年ですので:(商法第522条)、準消費貸借契約を締結することは自己に有利といえます。他方、債務者にとってみても、旧債務の弁済期限を一時猶予してもらえるような内容の準消費貸借契約であれば、自己にとって利益といえるでしょう。