合併契約書(2)の書き方〔雛形と例文〕

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合併契約書(2)【無料の雛形・書式・テンプレート】

合併とは、2つ以上の会社が契約によって1つの会社に合同することであって、企業の拡張、経営の合理化、競争の回避、市場の独占等の目的のために行われるのが通常です。このような目的は営業譲渡によっても達成することは可能ですが、営業譲渡の方法による場合には、譲渡会社は会社としてはそのまま存続し株主の地位もそのままの状態であるため、譲渡会社を消滅させたい場合には別途解散・清算の手続をとる必要があります。これに対し、吸収合併の方法によれば、被吸収会社は当然に解散し清算手続を要せすに消滅し、しかもその会社の株主は当然に吸収会社の株主になりますから、面倒な清算の手続を省略できる点でよりメリットがあります

合併契約書(2)のサンプル(見本)

合併契約書

  ○○株式会社(以下「甲」という)および××株式会社(以下「乙」という)は、次のとおり合併契約を締結する。

第1条(合併の方法) 甲および乙は合併して、甲は存続し、乙は解散する。

第2条(発行する株式総数) 甲は、乙の全株式を有するため、合併による新株発行は行わない。

第3条(増加すべき資本金および準備金等) 前条により、資本金の増加は行わない。

2 合併により増加する資本準備金、利益準備金および任意積立金その他の留保利益の額は次のとおりとする。

  • ① 資本準備金の額 商法第288条の2第1項第5号の超過額から下記第2号および下記第3号の金額を控除した額。
  • ② 利益準備金の額 ○○○○円および乙が、平成○年○月○日に終了する営業年度の利益処分により積立てる額。
  • ③ 任意積立金その他の留保利益の額 ○○○○円および乙が平成○年○月○日に終了する営業年度の利益処分にもとづき加減する任意積立金の額および留保する利益の額。ただし、積立てるべき項目および金額は、甲が決定する。

第4条(合併承認総会等) 乙は、平成○年○月○日に株主総会(以下「合併承認総会」という)を開催し、合併契約書の承認および合併に必要な事項に関する決議を求める。

2 合併手続上の必要性その他の事由があるときは、甲乙協議の上、前項の期日を変更することができる。

3 甲は、商法第413条の3第1項の規定によって、合併契約書の株主総会の承認を得ないで合併する。

第5条(合併期日) 合併期日は、平成○年○月○日とする。ただし、合併手続進行上の必要性その他の事由により、甲乙協議の上、これを変更することができる。

第6条(会社財産の承継) 乙は、平成○年○月○日現在の貸借対照表その他同日現在の計算を基礎とし、これに合併期日前日までの増減を加除した一切の資産および負債その他の権利義務を合併期日において甲に引き継ぐ。

2 乙は、平成○年○月○日から合併期日前日に至る間の資産および負債の変動につき、計算書を添付してその内容を甲に明示する。

第7条(善管注意義務、報告、協議義務) 甲および乙は、合併契約締結後合併期日に至るまで、善良なる管理者の注意をもってそれぞれの業務を執行し、かつ一切の財産の管理、運営を行い、その財産および権利義務に重大な影響をおよぽす行為については、互いに事前に協議の上、決定、実行する。

2 甲および乙は、平成○年○月○日現在の株主名簿に記載された株主または登録質権者に対し以下の金額を限度として利益配当を行う。

  • ① 甲においては1株当り○○円、総額○○○○円
  • ② 乙においては1株当り○○円、総額○○○○円

第8条(合併交付金) 甲は、合併期日現在の乙の株主名簿に記載された株主に対して、その所有する乙の株式1株につき○○円の合併交付金を、合併期日後3か月以内に支払う。

2 前項の交付金は、合併期日における乙の資産、負債の状態に応じ、甲乙協議の上、変更することができる。

第9条(従業員の承継) 甲は、合併後において、乙の従業員を全員引継ぐものとする。

2 従業員に関する取扱いについては、別に甲乙協議の上これを定める。

第10条(合併後の役員) 合併期日前に甲の取締役および監査役に就任した者の任期は、本合併がない場合に在任すべき時までとする。

第11条(退職慰労金) 甲は、乙の取締役または監査役のうち、合併後引き続き甲の取締役または監査役に選任されない者がある場合は、その者に対する退職慰労金を株主総会の承認を得て支給する。

第12条(契約内容の変更及び解除) 本契約締結後合併期日前日までの間において、天災地変その他の事由により、甲または乙の資産状態もしくは経営状態に重大な変動が生じたときは、甲乙協議の上、合併条件を変更しまたは本契約を解除することができる。

第13条(本契約の効力) 本契約は、第4条に定める乙の合併承認総会の承認が得られなかった場含、または法令に規定された関係官庁等の承認が得られないときは、効力を生じない。

第14条(協議事項) 本契約書に規定のない事項または本契約書の解釈に疑義が生じた事項については、甲乙誠意をもって協議の上、これを決定する。

  本契約締結の成立を証するため、本契約書2通を作成し、甲乙それぞれ記名捺印の上、各1通ずつを保有する。

平成○年○月○日

東京都○○区○○町○丁目○番○号

甲 ○○株式会社

代表取締役 ○○○○ 印

東京都○○区○○町○丁目○番○号

乙 △△株式会社

代表取締役 △△△△ 印

合併承認総会は不要

平成9年の商法改正により、合併後存続する会社が合併に際して発行する新株の総数が、その会社の発行済株式総数の20分の1を超えないときには、消滅会社の株主に支払われる金額が最終の貸借対照表により存続会社に現存する純資産額の50分の1を超える場合でない限り、合併に際して存続会社は承認総会を行う必要はないこととされました。たとえば、親会社が100%子会社を吸収合併するような場合には、親会社(存親会社)は、合併承認総会を開く必要はありません。

公正取引委員会への届出

会社合併をしようとする場合には、あらかじめ公正取引委員会に届出をしなければなりません。小規模会社の合併の場合には、簡易書式による届け出が認められており、原則として形式的審査が行われています(様式や添付書類については、公正取引委員会規則第1号第8条参照)。