特許権の通常実施権設定契約書の書き方〔雛形と例文〕

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特許権の通常実施権設定契約書【無料の雛形・書式・テンプレート】

契約書には、まず、①特許番号、②発明の名称、を書きます。そして、「上記の特許権について下記のとおり専用実施権を設定する」という主旨の記載をしてから専用実施権の設定内容を列挙していきます。内容として、書かなけれ ばならないことは、①期限、②製造・販売数量、③利用分野、④利用地域、⑤対価(報酬額)と支払方法(振込先)です。また、専用実施権については、特許庁への登録も必要となります。

特許権の通常実施権設定契約書のサンプル(見本)

通常実施権設定契約書

  ○○工業株式会社(以下「甲」という)と△△株式会社(以下「乙」という)とは、次のとおり契約を締結した。

第1条(通常実施権の設定) 甲は乙に対し、甲の所有する下記の特許権(以下「本件特許」という)につき、通常実施権を設定する。

  ①登録番号  特許登録第○○○○号

  ②発明の名称 ○○

第2条(登録手続) 甲は、乙に対し、本契約締結後、前条の実施権の設定登録手続をするものとする。

第3条(実施権の範囲) 乙が本件特許を実施する権利の範囲は、次のとおりとする。

  ① 実施地域

  ② 実施期間 平成○年○月○日から平成○年○月○日まで

  ③ 実施内容 ○○

第4条(実施料) 本件特許の実施料は金○○円とし、乙は本契約締結と同時にその半額金○○円を、実施権登録後直ちにその残額金○○円を甲に対し支払う。

第5条(再実施) 乙は、甲の事前の書面による同意を得た場合を除き、第三者に対し本件特許の実施権を譲渡しまたは再実施権を許諾してはならない。

第6条(改良発明) 乙が本契約の期間中に本件特許につき改良発明または改良考案を行った場合、乙は、甲に対し、無償で通常実施権を許諾する。

第7条(技術資料等) 甲は、実施特許の内容に関連して、その所有するすべての情報、資料その他を乙に提供し、かつその特許の技術的および商業的開発の面において、乙と協力し乙を援助するものとする。

第8条(権利の保全) 乙は、第三者が本件特許を侵害しまたは侵害するおそれがあることを知ったときは、直ちに甲にその旨を通知しなければならない。

2 乙は、いかなる場合にも、本件特許の有効性について争ってはならない。

第9条(特許の表示) 乙は、製品、包装、カタログ等に、本件特許の特許番号を表示しなければならない。

第10条(秘密保持) 甲および乙は、本契約にもとづき相互に知り得た相手方の秘密を厳守し、第三者に漏洩してはならない。

第11条(実施料の不返還) 甲は、いかなる場合にもすでに受領した実施料を返還しない。

  以上本契約の成立を証するため本書2通を作成し、甲乙記名捺印の上各1通を保有する。

平成○年○月○日

東京都○○区○○町○丁目○番○号

甲 ○○株式会社

代表取締役 ○○○○ 印

東京都○○区○○町○丁目○番○号

乙 △△株式会社

代表取締役 △△△△ 印

通常実施権

特許権者は、その発明を自ら業として実施するほか、これを第三者に実施させることもできます。実施権には、通常実施権と専用実施権とがあります。専用実施権を許諾したときは、他の第三者に通常実施権を許諾することができなくなることはもちろん、特許権者自身も特許権を利用できなくなります。これに対し、通常実施権の場合には、特許権者は、その設定後も自ら使用することも、他に実施権を設定することもできます。一般には通常実施権が多いようです。

特許権の特定

特許権の特定は、登録番号、発明の名称を明記しています。

実施権の登録・範囲

通常実施権を登録すると、その後に専用実施権を取得した者にも対抗できます。実施権の範囲は全部か一部か、一部の場合は地域、期間、内容等を明記します。

実施料

実施料の額を定める方法としては、定額法、料率法(製品の販売数量によって定める)、従量法(製品の製造数量によって定める)およびそれらの併用法などがあります。本書式では定額法によりました(第4条)。

通常実施権侵害に対する救済

通常実施権には侵害者に対する差止請求は認められていません。しかしながら、損害賠償請求は可能であると解されています。