取引基本契約書の書き方〔雛形と例文〕

スポンサーリンク

取引基本契約書【無料の雛形・書式・テンプレート】

企業間において反復継続的に商品の売買や請負等の契約を行う場合、すべての取引に共通する基本事項を取引基本契約として定めておき、個々の契約は、その基本契約め枠内において、固別に電話やFAXなどによる注文(注文書)とそれに対する承諾(納品書)によって形成していくという方式がとられます。本書式は、商品を反復継続的に供給する場合の取引基本契約書のひな形です。個々の細かい条件の決定は、時宜に応じた両社間の合意に求めつつ、取引の基本的な枠組みについて規定しています。

取引基本契約書のサンプル(見本)

継続的商品売買取引基本契約書

 

  ○○機械株式会社(以下「甲」という)と○○商事株式会社(以下「乙」という)とは、甲の製造する後記製品(以下「本件商品」という)の乙に対する継続的供給に関し、基本となる契約を次のとおり締結する。
 

第1条(目的) 甲および乙は、甲乙間の取引を相互利益尊重の理念に基づいて信義誠実に履行し、公正な取引関係を維持することをもってこの契約の目的とする。

第2条(個別契約) この基本契約(以下「本契約」という)は、甲乙間に締結される個別契約(以下「個別契約」という)に特段の定めのない限り、甲乙間のすべての個別取引に適用する。

2 個別契約は、発注年月日、品名、仕様、単価、数量、納期、納入場所、支払方法その他を記載した乙所定の注文書を乙から甲に交付し、甲がこれを承諾したときに成立するものとする。

第3条(売買価格および支払方法) 代金およびその支払方法は、甲乙協議のうえ、公正に定めるものとする。売買価格は、甲乙協議のうえ、別に定めるものとする。

第4条(納入後の検査) 乙は、甲から本件商品の納入を受けた時は、甲に対し直ちに受領書を発行するとともに、あらかじめ当事者が定めた検査方法によって、すみやかに商品を検査しなければならない。

2 前項の検査により乙が本件商品に瑕疵の存在を発見した場合、乙は直ちに書面をもって甲に対しその旨を通知しなければならない。

第5条(所有権の移転) 商品の所有権は、商品引渡しによって甲から乙に移転するが、特約がある場合には、代金弁済完了まで、商品の所有権は甲に帰属するものとする。

2 乙は、商品受領の際、直ちに甲の納品書に受領の署名押印をして甲に発送するものとする。

第6条(瑕疵担保責任) 甲より乙へ本件商品を納入した後6か月以内に乙が当該商品に瑕疵を発見した場合において、乙が甲に対して遅滞なくその旨を通知したときは、乙は、相当の期限を定めて、甲に対し、甲の負担において、当該商品の修理または交換をすべきことを請求することができる。

2 前項の場合において、当該瑕疵に基づき乙が損害を被ったとき(乙が第三者に発生した損害を賠償したときを含む)は、乙は甲に対し損害賠償の請求をすることができる。

3 甲は、乙に対する本件商品の納入後6か月を経過したときは、本件商品につき何ら責任を負わないものとする。

第7条(技術講習および販売支援) 甲は、乙の要請があったときは、乙の販売員に対して、本件商品に関する技術講習を実施するとともに、本件商品の取扱説明書、カタログその他本件商品の宣伝、広告に必要な書類は、甲がその費用負担において作成し、これを乙に無償で提供するものとする。

2 前項の技術講習の実施に関する条件については、甲乙協議のうえ、別に定める。

第8条(秘密保持) 甲および乙は、本契約および個別契約に関して知り得た他の当事者の、営業上、技術上の秘密を、第三者に開示または漏洩してはならない。

第9条(損害賠償) 甲または乙が本契約または個別契約の条項に違反し、相手方に損害を与えたときには、違反した当事者は、損害を被った相手方に対してその損害を賠償するものとする。

第10条(契約解除) 甲または乙は、相手方が次の各号に該当したときは、何らの通知催告を要せず、直ちに本契約を解除することができるものとする。

  • ① 本契約または個別契約の条項に違反し、相当の期間を定めて是正を催告したにもかかわらず、当該期間内に是正を行わないとき
  • ② 自ら振り出し、または裏書した手形または小切手が1通でも不渡り処分を受けたとき
  • ③ 租税公課の滞納処分を受けたとき
  • ④ 差押、仮差押、仮処分等を受けたとき
  • ⑤ 破産、民事再生手続きまたは会社更生の申立をなし、またはこれらの申立がなされたとき
  • ⑥ 解散、合併または営業の全部または重要な一部の譲渡を決議したとき
  • ⑦ 監督官庁から営業取消、営業停止等の処分を受けたとき
  • ⑧ 財産状態が悪化し、またはそのおそれがあると認められる相当の事由があるとき

2 前項に基づいて本契約が解除されたときは、帰責事由の存する当事者は、他の当事者に対して、本契約の解除により他の当事者が被った損害を賠償するものとする。

第11条(有効期間) 本契約の有効期間は、調印の日より1年間とし、期間満了3か月前までにいずれの当事者からも書面による別段の申出がないときには、さらに1年間延長されるものとし、以後も同様とする。

2 本契約の終結または解除のときに、すでに成立した個別契約があるときは、本契約は当該個別契約の履行が完了するまで、当該個別契約の履行の目的のために、なお効力を有するものとする。

第12条(合意管轄) 甲および乙は、本契約より生じる紛争については、甲の本店所在地を管轄する地方裁判所を第一審管轄裁判所とする。

第13条(協議) 本契約に定めなき事項または解釈に疑義を生じた事項については、甲乙協議の上、解決するものとする。
 

  本契約の成立を証するため本書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、各1通を保有する。
 

平成○年○月○日

東京都○○区○○町○丁目○番○号

甲 ○○株式会社

代表取締役 ○○○○ 印

東京都○○区○○町○丁目○番○号

乙 △△株式会社

代表取締役 △△△△ 印

支払条件

支払条件は、個々の相手方との関係で個別に定める必要もあるため、本書式のように、基本契約では具体的に定めないことが多くあります。一般的には、締切日を定め、一定期間後に現金や手形で決済します。なお、代金債権の確保については、別途の契約書により、保証金、連帯保証、質権、根抵当権などの担保を設定することになります。

瑕疵担保責任

売却した商品に欠陥があったときは、民・商法上、売主は買主に対し、瑕疵(欠陥)のない物を調達して交換、コあるいは瑕疵を修補(修理し、補うこと)する義務を負いますが、本書式では、この責任を商品納入後日か月以内に発見された瑕疵に限定しています。このような定めも契約自由の観点から有効と解されているのです。もっとも、この責任限定は、契約当事者間だけの関係を定めるものにすぎませんから、商品の欠陥が原因で第三者に損害が発生した場合、メーカーである売主甲は「製造物責任」を負うことがあります。ですから、売主甲としては、保険等の措置を講じておくことも必要です。

契約の期間

契約の有効期間は1~2年間としておき、1年ごとの自動更新を定めている例が多いようです。

収入印紙の貼付

この契約書は、1通につき4000円の収入印紙を貼付することが必要です。

相殺予約

取引先との関係に応じて、「甲が乙に対して債務を有する場合、甲は本件売掛債権の弁済期が到来すると否とにかかわらず、本件債権と甲が乙に対して負担する債務を同等の金額や条件で相殺できるものとする」といった相殺の予約条項を入れることもあります。

公正証書作成(乙が債務者の場合)

「乙は、甲の請求があった場合は、本契約または個別契約の趣旨にもとづいて  本契約または個別契約より生ずる一定金額の債務金につき、強制執行認諾の文言を付した公正証書を作成することに同意し、これに必要な印鑑証明書、委任状、資格証明書等をあらかじめ甲に交付するものとする」という条項を入れることもあります。

保証人(丙とする)の負担義務

「丙は連帯保証人となり、本契約ないし個別契約に関して、乙が甲に対して 負担する一切の債務について、乙と連帯して保証するものとする」という条項を入れることもあります。