機械売買契約書の書き方〔雛形と例文〕

スポンサーリンク

機械売買契約書【無料の雛形・書式・テンプレート】

民法上、売買契約の目的物の所有権は、特段の定めのない限り、原則として特定物売買の場合は契約の時に、不特定物売買の場合は特定の時に、所有権が移転します。これだと、代金支払いが完了するより前に、目的物(本件では機械)の所有権が売主(甲)から買主(乙)へと移転することになります。

その場合、代金が買主から売主に支払われれば問題はないのですが、買主が破産して支払えなくなったような場合には、売主に酷なことになります。そこで、そのような場合に備えて、目的物の所有権の移転時期は、本書式のように代金完済の時とするのが安全といえるでしょう。実際、機械等の高額な動産の売買の場合、代金の完済まで所有権を売主に留保しておくこともよく行われています。

機械売買契約書のサンプル(見本)

機械売買契約書

  ○○機械株式会社(以下「甲」という)と××工業株式会社(以下「乙」という)は、甲が所有する別紙目録記載の機械(以下「本件機械」という)の売買に関し、次のとおり契約を締結する。

第1条(目的) 甲は、乙に対して、本件機械を売り渡し、乙はこれを買い受ける。

第2条(機械の引渡) 甲は、平成○年○月○日限り、乙の○○工場に本件機械を搬入の上据え付け、試運転をした上で、乙から第3条第2号の残代金の全額の支払いを受けるのと引き換えに、本件機械を乙に引き渡すものとする。

第3条(売買代金) 本件機械の売買代金は、据え付け工事費を含み、総額金○○円とし、乙は甲に対し次のとおり支払う。

  • ① 本契約締結と同時に手付金として金○○円
  • ② 前条の機械の引渡と引き換えに残額金○円

第4条(所有権の移転時期) 本件機械の所有権は、前条の代金完済の時に甲から乙に移転する。

第5条(保証) 甲は、乙に対して、本件機械が仕様書記載の品質・性能を有することを保証し、第2条の本件機械の引渡の日から1年間、無償にて保守および修理を行う。ただし、乙の操作の誤りにもとづく故障については、甲は乙に対し修理等の実費を請求することができる。

2 本件機械が仕様書記載の品質・性能を著しく欠き、または故障が頻発する等乙の業務に支障あるときは、乙は、甲に対し、本契約を直ちに解除し、すでに支払った代金の返還およびこれによる損害の賠償を請求することができる。

第6条(危険負担) 本件機械が、第2条の引渡の完了前に甲の責めに帰すべからざる事由によって滅火または毀損したときは、甲の代金債権は、機械滅失の場合には当然に消滅し、機械の一部毀損の場合には、毀損の割合に応じて減額するものとする。

第7条(協議) 本契約に定めのない事項および疑義が生じた事項については、甲乙協議の上、決定する。

  以上本契約の成立を証するため本書2通を作成し、甲乙記名捺印の上各1通を保有する。

平成○年○月○日

東京都○○区○○町○丁目○番○号

甲 ○○株式会社

代表取締役 ○○○○ 印

東京都○○区○○町○丁目○番○号

乙 △△株式会社

代表取締役 △△△△ 印

品質・性能の保証

機械の売買の場合、その機械が予定通りの品質・性能を保持しているかは、買主にとってとても重要な問題です。当該機械の品質・性能については、詳しく契約書中に明記するのが望ましいでしょう。また、瑕疵が発見された場合の修補についても、その期間、費用負担等に関し規定しておく必要があります。

動産売買について

不動産は家や土地などの定着物のこと、動産はそれ以外のものをいいます。この契約書式であつかっている「機械」はビジネスの場においては、動産の典型例といえますが、これ以外の動産についても、基本的には本書式例で示したものと同じ内容を記載します。

「所有権がある」といえるためには

不動産を買った場合に必ず所有権移転登記をするように、動産においても買った物の所有権を第三者に主張する(これを「対抗する」といいます)ために引渡が必要になります。ですから、動産を買った人は、売主から引渡を受けていれば、第三者に対して自分の所有権を正当に主張することができます。