フランチャイズ契約書の書き方〔雛形と例文〕

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フランチャイズ契約書【無料の雛形・書式・テンプレート】

フランチャイズ契約とは、事業者(本部・フランチャイザー)が他の事業者(加盟店・フランチャイジー)に対し、自己の商号、商標、経営ノウハウなどを用いて同一のイメージのもとで商品の販売等事業を行う権利を与え、他方、加盟店(フランチャイジー)が、これに対して一定の対価を支払うとともに、事業に必要な資金を投下して本部(フランチャイザー)の指導および援助のもとに事業を行うことを内容とする法律行為のことです。加盟店は独立した事業者ではありますが、本部(フランチャイザー)の強力な管理を受けることになります。

フランチャイズ契約書のサンプル(見本)

フランチャイズ契約書

  ○○商事株式会社(以下「甲」という)と乙山次郎(以下「乙」という)とは、コンビニエンス・ストア「○○マート」の経営に関して、次内とおりフランチャイズ契約を締結した。

第1条(フランチャイズ権の付与) 甲は、乙に対し、以下に定める規定に従い、乙所有の店舗において、甲が定めた商号、商標、マーク等及び甲が開発した○○マート経営ノウハウ(以下「ノウハウ」という)を使用して、統一的なイメージのもとに、○○マートを経営する権利(以下「フライチャイズ権」という)を付与する。

第2条(店舗の設置等) 乙は、○○市○○町○○番地に○○マート店舗(以下「店舗」という)を設置する。

2 乙は甲の指示に従い、その費用負担で、店舗の構造、内外装、店内レイアウト、看板等、乙の店舗の設置、改修、変更に関する一切の事項を行う。

第3条(排他条項) 乙は、甲の書面による事前の承諾なく他の事業を行い、または甲の認める商品以外の物品を販売し、もしくは役務を提供してはならない。

第4条(経営指導等) 甲は、乙およびその従業員に対し、商品の販売に関するノウハウの実施につき、適当と認める範囲内で指導を行い、その技術を習得させるものとする。

2 甲は、乙の開店業務につき、乙の店舗設計・工事人ならびに必要資材のあっ旋・供給をする等の援助を行い、乙の店舗の万全、円滑な開店に協力する。

第5条(備品等) 甲は乙に対し、店舗における備品の設置を指示し、変更することができる。

2 乙は、店内においては甲の指示する制服を着用し、また乙の従業員にもこれを着用させるものとする。

3 前2項の備品の調達、設置、制服の調達に要する費用は、乙がこれを負担する。

第6条(広告・宣伝) 甲は、その費用において○○マートおよびその販売商品について広告・宣伝を行うものとし、乙はこれについて独自に広告・宣伝等を行ってはならない。

第7条(遵守事項) 乙は、商品の販売品目、販売価格、店舗の内外装、従業員のユニフォームその他の営業の方式については、甲の指示どおりに実施しなければならない。

2 乙は、甲または○○マートの信用もしくはイメージを損なう行為をしてはならない。

第8条(商品の仕入) 甲は、その製造にかかる別表記載の商品を同表記載の売買価格にて乙に対し売り渡し、乙は、甲よりこれを買い受け、その店舗で販売する。

2 前項の商品の売買においては、乙は、毎日午後3時までに、翌日納入を受けるべき商品を甲に注文するものとし、甲は、かかる注文のあった商品を、翌日午前9時までに乙に納入するものとする。

第9条(決済) 乙は、前月16日から当月15日までに甲より納入を受けた商品の代金を毎月25日までに甲の指定する銀行口座に振り込むものとする。

第10条(危険および所有権の移転) 乙が甲より購入した商品の危険負担は、その引渡の時をもって甲より乙に移転するものとし、所有権はその売買代金完済の時まで甲に留保されるものとする。

2 乙は、年中無休かつ少なくとも午前6時から午前12時までの間、店舗を開店し、営業を行わなければならない。ただし、店舗の改装その他の事由により、あらかじめ甲の書面による承諾を得た場合はこの限りではない。

第12条(ロイヤリティ) 乙は、フランチャイズ権の付与および甲による経営指導の対価として、甲に対しロイヤリティとして毎月総売上高の○○パーセントにあたる金員を支払わなければならない。この決済方法は、第9条の規定に従う。

第13条(加盟金) 乙は、甲に対し、本契約の締結と同時にフランチャイズ加盟金として金○○○○円を支払うものとする。この加盟金は、いかなる場合においても返却しないものとする。

第14条(保証金) 乙は、本契約に基づき甲に対し負担する一切の債務を担保するため、本契約締結と同時に金○○○○円の保証金を甲に差し入れるものとする。保証金には利息を付さない。

2 甲は、乙が甲に対する債務の支払いを怠った場合、いつでも前項の保証金をこれに充当して、乙に対し、これにより生じた保証金の不足額の補てんを請求することができる。

第15条(秘密保持) 乙は、ノウハウその他本契約にもとづいて知り得た甲の秘密を現に秘匿し、これを第三者に開示または漏洩し、もしくは本契約の目的以外の目的のために使用してはならない。

2 乙は、マニュアルその他、甲より貸与されもしくは提供を受けた文書、図面その他の図書を厳重に管理し、甲の事前の書面による承諾なくこれを複写し第三者に閲覧させ、または譲渡、転貸してはならない。

3 乙は、その従業員に対しても前2項の義務を遵守させなければならない。

第16条(譲渡禁止) 乙は、甲の書面による事前の同意がない限り、本契約上の地位、本契約にもとづく権利義務の全部または一部を第三者に譲渡または貸与もしくは担保の目的に供してはならず、その経営する○○マートの経営を第三者に委任してはならない。

第17条(損害賠償) 甲または乙が本契約に違反し、相手方に損害を与えたときはその損害を賠償するものとする。

第18条(解約) 乙につき次の各号の一に該当する事由が生じたときは、甲は何らの通知催告を要せず、直ちに本契約を解約することができるものとする。

  • ① 本契約または個別契約に違反し、甲が相当の期間を定めて是正を催告したにもかかわらず、当該期間内に是正がなされないとき
  • ② 自ら振り出しまたは裏書きした手形または小切手が1通でも不渡りとなったとき
  • ③ 破産、民事再生手続きまたは会社更生の申立をなし、または第三者からこれらの申立がなされたとき
  • ④ 自らの債務不履行により、差押、仮差押、仮処分等を受けたとき
  • ⑤ 公租公課の滞納処分を受けたとき
  • ⑥ 解散、合併、営業の全部または重要な財産の一部の譲渡を決議したとき
  • ⑦ 財産状態が悪化し、または悪化するおそれがあると認められる相当の事由があるとき

第19条(有効期間) 本契約は、調印の日より2年間効力を有するものとする。ただし、期間満了3か月前までに甲乙いずれからも別段の申出がないときには、さらに1年間延長するものとし、以後も同様とする。

第20条(解約・終結時の措置) 本契約が終了したときは、乙は当然に期限の利益を失い、甲に対する債務全額を直ちに支払うものとする。

2 本契約が終了したときは、乙は、甲の商標・商号・ノウハウ等の使用を直ちに止め、マニュアル、その他甲より貸与され、もしくは提供を受けた文書、図面、その他の図書全部をそのすべての写しとともに甲に返却し、または甲の指示する方法により処分しなければならない。

第21条(合意管轄) 本契約上の紛争については、甲の本店所在地を管轄する地方裁判所を第一審の管轄裁判所とすることに合意する。

  以上、本契約を証するために本書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、各1通を保有する。

平成○年○月○日

東京都○○区○○町○丁目○番○号

甲 ○○株式会社

代表取締役 ○○○○ 印

東京都○○区○○町○丁目○番○号

乙 △△株式会社

代表取締役 △△△△ 印

代理店契約との相違

フランチャイズ契約も代理店契約も、ともに継続的関係を前提としていることは同様ですが、代理店の方はメーカーが大量に製造した自己の商品を傘下の販売店(代理店)を通じて販売するためのシステムであるのに対し、フランチャイズ契約は、単に本部(フランチャイザー)の商品を売るということにとどまらず、本部(フランチャイザー)が開発した営業方法をフランチャイジーに伝達し、消費者に対し内容の同じ商品・サービスを販売するというイメージを喚起することをめざすシステムである点で、両者は異なります。ただ、現実に締結されている契約を比較すると、両者に共通する条項が多く、両者を画一的に区別することは難しいといえます。

独占禁止法との関係

フランチャイジーに対し、フランチャイザーの商品以外の商品の販売を禁止する特約、フランチャイザーの指定した価格(再販売価格)で販売することを義務づける特約等は、独占禁止法の禁止する「不公正な取引方法」にあたる可能性がありますので、注意を要します。なお、本書式に書かれている規定はこれには抵触しません。

独占禁止法

正式には「私的独占の禁止および公正取引の確保に関する法律」。企業活動の基本的ルールを定める法律で、公正で自由な競争を促進し、経済の効率的な運営を実現することを目的としています。違反した企業に対しては、公正取引委員会が不当行為の排除命令や課徴金の納付、刑事告発などを行う場合があります。