事業用借地権設定契約書の書き方〔雛形と例文〕

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事業用借地権設定契約書【無料の雛形・書式・テンプレート】

事業用借地権とは、期間満了後の契約の更新がなく、賃借人の建物買取請求も排除できる借地権であり、平成3年の借地借家法の改正によって新設された契約類型です(借地借家法第24条)。

事業用借地権設定契約書のサンプル(見本)

事業用借地権設定契約書

  賃貸人○○株式会社(以下「甲」という)と賃借人△△有限会社(以下「乙」という)は、甲が所有する後記土地(以下「本件土地」という)を目的として、次のとおり、賃貸借契約を締結した。

第1条(合意) 甲は、乙に対し、乙が次条の目的に使用するために本件土地を賃貸し、乙はこれを借り受ける。

第2条(目的) 本契約は、乙が本件土地上に、○○事業の用に供する建物を所有することを目的とする。

第3条(契約期間、更新の排除) 賃貸借期間は、平成○年○月○日から同○年○月○日までの20年間とし、更新しないものとする。

第4条(賃料) 賃料は1か月金○○万円とし、乙は、毎月末日限り翌月分を甲の指定する銀行口座に振り込んで支払うものとする。

2 甲は、前項の賃料が公租公課の増減その他経済事情の変動等により、近隣土地の地代に比較して不相当となったときは、賃料の増額を請求することができる。

第5条(不作為義務) 乙は、事前の甲の書面による承諾を得た場合を除き、賃借権の譲渡ないし本件土地の転貸をなし、または本件土地上の建物に増改築もしくは大修繕を施してはならない。

第6条(契約の解除) 乙が次の各号の一に該当したときは、甲は何らの通知催告を要せず、直ちに本契約を解除することができる。

  • ① 3か月分以上の賃料の支払いを怠ったとき
  • ② その他本契約の条項に違反したとき

第7条(建物の滅失) 第3条の期間満了前に乙が本件土地上に所有する建物が滅失(乙による取り壊しを含む)した場合は、乙が新たに建物を築造したときでも、本契約は、直ちに終了するものとする。

第8条(原状回復義務、損害金) 本契約が終了したときは、乙は、直ちに建物を収去し、本件土地を原状に復した上でこれを甲に明け渡さねばならない。

2 乙は、本契約終了に際し、乙が本件土地上に所有する建物その他の物の買収を請求できないものとする。

3 乙は、本契約終了後、本件土地の明渡し完了まで1日につき、金○○○○円の損害金を支払わねばならない。

第9条(立退料等の排除) 乙は本契約終了の場合、甲に対し、本件土地の明渡しに際し、移転料、立退料その他いかなる名称にかかわらずそれらに類する金銭的要求をしないものとする。

第10条(合意管轄) 甲および乙は、本契約に関する当事者間の紛争については、甲の住所地を管轄する裁判所を第一審の管轄裁判所とすることに合意する。

第11条(公正証書の作成) 甲および乙は、本件契約を内容とする公正証書を作成することを合意する。

  この契約の成立を証するため本書2通を作成し、甲乙各1通を保有する。

平成○年○月○日

東京都○○区○○町○丁目○番○号

甲 ○○株式会社

代表取締役 ○○○○ 印

東京都○○区○○町○丁目○番○号

乙 △△株式会社

代表取締役 △△△△ 印

公正証書

業用借地権の設定契約は、借地人の権利に重大な制限を伴う契約であるため、公正証書によって行わなければなりません。このため、本書式のように公正証書の内容となる条項を合意書あるいは覚書の形式で作成し、それをもとに公証人役場で公正証書契約書を作成してもらうことが必要です(第11条)。

目的

事業用借地権は、「専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く)の所有を目的」とする場合でなければ設定できません。このため、本書式第2条のように事業の内容を具体的に記載することが必要です。その場合「居住用建物賃貸事業」を目的にはできません。

賃貸借契約期間

賃貸借契約期間は、10年以上20年以下でなければなりません。それ以外の期間を定めた場合には、事業用借地権としては無効になりますので注意してください。