定期建物賃貸借契約書の書き方〔雛形と例文〕

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定期建物賃貸借契約書【無料の雛形・書式・テンプレート】

定期借家制度の創設「良質な賃貸住宅の供給の促進に関する特別措置法」が平成11年12月19日に成立し、これに伴う借地借家法の一部改正により定期借家制度が導入されました(同12年3月1日より施行)。

定期建物賃貸借契約書のサンプル(見本)

定期建物賃貸借契約書

  貸主○○不動産株式会社(以下「甲」という)および借主○○商事株式会社(以下「乙」という)は、後記の賃貸借の目的物(以下「本物件」という)について、以下の条項により借地借家法(以下「法」という)第38条に規定する定期建物賃貸借契約(以下「本契約」という)を締結した。

第1条(契約期間) 契約期間は、平成○年○月○日から平成○年○月○日までの○年○月間とする。

2 本契約は、前項に規定する期間の満了により終了し、更新しない。ただし、甲および乙は協議の上、本契約の期間の満了の日の翌日を始期とする新たな賃貸借契約(以下「再契約」という)をすることができる。

3 甲は、第1項に規定する期間の満了の1年前から6月前までの間(以下「通知期間」という)に乙に対し、期間の満了により賃貸借が 終了する旨を書面によって通知するものとする。

4 甲は、前項に規定する通知をしなければ、賃貸借の終了を乙に主張することができず、乙は、第1項に規定する期間の満了後においても、本物件を引き続き賃借することができる。ただし、甲が通知期間の経過後、乙に対し、期間の満了により賃貸借が終了する旨の通知をした場合においては、その通知の日から6月を経過しだ日に賃貸借は終了する。

第2条(使用目的) 乙は、居住のみを目的として本物件を使用しなければならない。

第3条(賃料) 賃料は月額○○万円とし、乙は、毎月末日までにその翌月分の賃料を甲に持参または甲の指定する銀行口座に振り込んで支払うものとする。

2 1か月に満たない期間の賃料は、1か月を30日として日割計算した額とする。

3 甲および乙は、次の各号の一に該当する場合には、協議の上、賃料を改定することができる。

  • ① 土地または建物に対する租税その他の負担の増減により、賃料が不相当となった場合
  • ② 土地または建物の価格の上昇または低下その他の経済事情の変動により、賃料が不相当となった場合
  • ③ 近傍同種の建物の賃料に比較して賃料が不相当となった場合

第4条(共益費) 乙は、階段、廊下等の共用部分の維持管理に必要な光熱費、上下水道使用料、清掃費等(以下「維持管理費」という)に充てるため、共益費を甲に支払うものとする。

2 前項の共益費は、月額○○万円とし、乙は、毎月末日までにその翌月分の賃料を甲に持参または甲の指定する銀行口座に振り込んで支払うものとする。

3 1か月に満たない期間の共益費は、1か月を30日として日割計算した額とする。

4 甲および乙は、維持管理費の増減により共益費が不相当となったときは、協議の上、共益費を改定することができる。

第5条(敷金) 乙は、本契約から生じる債務の担保として、賃料○か月相当分の敷金を甲に預け入れるものとする。

2 乙は、本物件を明け渡すまでの間、敷金をもって賃料、共益費その他の債務と相殺することはできない。

3 甲は、本物件の明渡しがあったときは、遅滞なく、敷金の全額を無利息で乙に返還しなければならない。ただし、甲は、本物件の明渡時に、賃料の滞納、原状回復に要する費用の未払い、その他の本契約から生じる乙の債務の不履行が存在する場合には、当該債務の額を敷金から差し引くことができる。

4 前項但書の場合には、甲は、敷金から差し引く債務の額の内訳を乙に明示しなければならない。

第6条(禁止または制限される行為) 乙は、甲の書面による承諾を得ることなく、本物件の全部または一部につき、賃借権を譲渡し、または転貸してはならない。

2 乙は、甲の書面による承諾を得ることなく、本物件の増築、改築、移転、改造もしくは模様替または本物件の敷地内における工作物の設置を行ってはならない。

3 乙は、本物件の使用にあたり、以下に掲げる行為を行ってばならない。

  • ① 鉄砲、刀剣類または爆発性、発火性を有する危険な物品を製造または保管すること
  • ② 大型の金庫その他の重量の大きな物品等を搬入し、または備えつけること
  • ③ 配水管を腐食させるおそれのある液体を流すこと
  • ④ 大音量でテレピ、ステレオ等の操作、ピアノ等の演奏を行うこと
  • ⑤ 猛獣、毒蛇等の明らかに近隣に迷惑をかける動物を飼育すること

4 乙は、本物件の使用にあたり、甲の書面による承諾を得ることなく以下に掲げる行為を行ってはならない。

  • ① 階段、廊下等の共用部分に物品を置いたり、看板、ポスター等の広告物を掲示すること
  • ② 鑑賞用の小鳥、魚等であって、明らかに近隣に迷惑をかけるおそれのない動物以外の犬、猫等の動物(第3項第5号の動物を除く)を飼育すること

5 乙は、本物件の使用にあたり、以下に掲げる行為を行う場合には、甲に通知しなければならない。

  • ① 新たな同居人を追加(出生を除く)すること
  • ② 1か月以上継続して本物件を留守にすること

第7条(修繕) 甲は、別表に掲げる修繕を除き、乙が本物件を使用するために必要な修繕を行わなければならない。この場合において、乙の故意または過失により必要となった修繕に要する費用は、乙が負担しなければならない。

2 前項の規定にもとづき甲が修繕を行う場合には、甲は、あらかじめその旨を乙に通知しなければならない。この場合において、乙は正当な理由がある場合を除き、当該修繕の実施を拒否することができない。

3 乙は、甲の承諾を得ることなく、別表に掲げる修繕を自らの負担において行うことができる。

第8条(契約の解除) 甲は、乙が次に掲げる義務に違反した場合において、甲が相当の期間を定めて当該義務の履行を催告したにもかかわらず、その期間内に当該義務が履行されないときは、本契約を解除することができる。

  • ① 第3条第1項に規定する賃料支払義務
  • ② 第4条第2項に規定する共益費支払義務
  • ③ 前条第1項後段に規定する費用負担義務

2 甲は、乙が次に掲げる義務に違反した場合において、当該義務違反により本契約を継続することが困難であると認められるに至ったときは、本契約を解除することができる。

  • ① 第2条に規定する本物件の使用目的遵守義務
  • ② 第6条各項に規定する義務
  • ③ その他本契約書に規定する乙の義務

第9条(乙からの解約) 乙は、甲に対して少なくとも1月前に解約の申入れを行うことにより、本契約を解約することができる。

2 前項の規定にかかわらず、乙は、解約申し入れの日から1月分の賃料(本契約の解約後の賃料相当額を含む)を甲に支払うことにより、解約申入れの日から起算して1月を経過する日までの間、随時に本契約を解約することができる。

第10条(明渡し) 乙は、本契約が終了する日までに、本物件を明け渡さなければならない。この場合において、乙は、通常の使用に伴い生じた本物件を原状回復しなければならない。

2 乙は、前項前段の明渡しをするときには、明渡日を事前に甲に通知しなければならない。

3 甲および乙は、第1項後段の規定にもとづき乙が行う原状回復の内容および方法について協議するものとする。

第11条(立入り) 甲は、本物件の構造の保全その他の管理上特に必要があるときは、あらかじめ乙の承諾を得て、本物件内に立ち入ることができる。

2 乙は、正当な理由がある場合を除き、前項の規定にもとづく甲の立入りを拒否することはできない。

3 本契約終了後において本物件を賃借しようとする者または本物件を譲り受けようとする者が下見をするときは、甲および下見をする者は、あらかじめ乙の承諾を得て、本物件内に立入ることができる。

4 甲は、火災による延焼を防止する必要がある場合、その他の緊急の必要がある場合においては、あらかじめ乙の承諾を得ることなく、本物件内に立入ることができる。この場合において、甲は乙の不在時に立ち入ったときは、立入り後その旨を乙に通知しなければならない。

第12条(連帯保証人) 連帯保証人は、乙と連帯して、本契約から生じる乙の債務(甲が第1条第3項に規定する通知をしなかった場合においては、同条第1項に規定する期間内のものに限る)を負担するものとする。

第13条(再契約) 甲は、再契約の意向があるときは、第1条第3項に規定する通知の書面に、その旨を付記するものとする。

2 再契約をした場合は、第10条の規定は適用しない。ただし、本契約における原状回復の債務の履行については、再契約にかかる賃貸借が終了する日までに行うこととし、敷金の返還については、明渡しがあったものとして第5条第3項に規定するところによる。

第14条(協議) 甲および乙は、本契約書に定めがない事項および契約書の条項の解釈について疑義が生じた場合は、民法その他の法令および慣行に従い、誠意をもって協議し、解決するものとする。

平成○年○月○日

東京都○○区○○町○丁目○番○号

甲 ○○株式会社

代表取締役 ○○○○ 印

東京都○○区○○町○丁目○番○号

乙 △△株式会社

代表取締役 △△△△ 印

定期借家制度

定期借家制度は、契約期間の満了により更新されることなく確定的に契約が終了する借家契約を認めるもので、借家人に厳しい内容といえます。改正法の施行前から締結されている賃貸借契約には、定期借家制度の適用はありません。改正後の借地借家法によると、当事者は、定期借家契約と従来型の更新可能な借家契約のいずれかを選択することも可能としていますが、当事者の力関係から、定期借家契約が選択される場合が多いだろうと予想されています。定期借家契約を締結するためには、その契約が期間の満了によって確定的に終了し更新されない旨が契約書中に明示される必要があり、また公正証書 による必要があります。