質権設定契約書の書き方〔雛形と例文〕

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質権設定契約書【無料の雛形・書式・テンプレート】

質権とは、簡単にいえば、物を預けることで金銭を賃してもらうことのできる権利です。質権設定は、質権を取得しようとする債権者と自己の財産に質権を設定しようとする設定者との契約によってなされますが、株券等有価証券に表章されている権利をその目的とする場合には、質権設定の合意だけでなく株券等の有価証券の交付が必要です。

質権設定契約書のサンプル(見本)

有価証券質権設定契約書

  ○○商事株式会社(以下「甲」という)と△△株式会社(以下「乙」という)とは、次のとおり質権設定契約を締結した。

第1条(質権設定の合意・証券の交付) 乙は、下記債務(以下「本件債務」という)の担保として、甲のため、乙が保有する後記の有価証券(以下「本件有価証券」という)に質権を設定することとし、甲に本件有価証券を交付し、甲は、これを承諾し、本件有価証券を受領した。

 甲乙間の平成○年○月○日付「継続的商品取引契約」にもとづき乙が甲に対して現に負担しまたは将来負担する一切の債務

第2条(増担保) 乙は、本件有価証券のうちの株式に関し、増資新株、株式配当、無償交付等当該株式に関して新株式が交付された場合は、当該新株式のすべてを増担保として甲に提供する。

第3条(必要書類の交付) 乙は、本契約成立後遅滞なく、甲に対し、本件有価証券の名義書換および登録に必要な一切の書類を交付する。

  以上のとおり契約が成立したので、これを証するため本書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、各1通を保有する。

平成○年○月○日

東京都○○区○○町○丁目○番○号

甲 ○○株式会社

代表取締役 ○○○○ 印

東京都○○区○○町○丁目○番○号

乙 △△株式会社

代表取締役 △△△△ 印

(有価証券の表示)

1 ××株式会社普通株式○○株

  • 名義人  ○○○○
  • 株数   ○○株
  • 発行価額 金○○○○○円

2 △△興産株式会社転換社債

  • 名義人  ○○○○
  • 債権額  金○○○○○円
  • 償還期限 平成○○年○月○日

換価が容易な場合に利用

上場株式や店頭登録株式は、換価が容易であり、質権を中心とした担保権の設定もよく行われています。

略式質と登録質

略式質と登録質株式に質権を設定する方法としては、略式質(株券の交付で効力を生じ、株券の継続占有が第三者対抗要件であるもの)と、登録質(略式質の要件をみたし、さらに設定者である株主の承諾を得て株主名簿と株券に質権者の記載をすることにより成立するもの)があります。両者の違いは、配当金等の交付を質権者が受けるか、設定者が受けるかの点にあります。

株式譲渡制限がある場合

商法第204条第1項但書は、株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨の定款規定を置くことを認めています。小規模閉鎖会社の株式には、この譲渡制限があるのがむしろ普通といえます。ただし、このような制限がある場合でも、株式 の質入れ自体は、「株式の譲渡」にはあたりませんから、質入れをする時点で取締役会の承認を得る必要はありません。

債権質について

質権の設定契約は、質屋だけで行われているわけではありません。上記書式のように企業間でも設定可能です。実際、ビジネスの現場でも、頻繁に活用されています。質権は、譲渡可能なものであれば、動産、不動産(家、土地)、債権、株式などに設定できるのが特徴です。債権質としてよく利用されているものとしては、敷金や保証金の質権設定契約、定期預金債権の質権設定契約などがあります。