在庫商品譲渡担保設定契約書の書き方〔雛形と例文〕

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在庫商品譲渡担保設定契約書【無料の雛形・書式・テンプレート】

不動産などの有効な担保物件がない場合に、在庫商品を一括して担保に供することがよく行われます。民法上はこのような複数かつ内容の変動可能性のある物に対してーつの担保物件を設定する制度はありませんが、実務上認められています。

在庫商品譲渡担保設定契約書のサンプル(見本)

在庫商品譲渡担保設定契約書

  譲渡担保権者○○興産株式会社(以下「甲」という)と債務者兼譲渡担保設定者△△商事株式会社(以下「乙」という)は、次のとおり在庫商品を目的とする譲渡担保権の設定契約を締結した。

第1条(譲渡担保権の設定) 乙は、下記債務(以下「本件債務」という)の担保として、甲のため、乙の所有する別紙目録記載の在庫商品(以下「担保物件」という)を甲に譲渡し、占有改定の方法により、本日、甲に引渡を完了した。

  甲乙間の平成○年○月○日付「継続的商品取引契約」にもとづき乙が甲に対して現に負担しまたは将来負担する一切の債務

第2条(担保物件の保管および公示) 乙は、担保物件を乙の本店倉庫内において他の商品等と区別して、これを無償で預かり、善良なる管理者の注意をもって保管する。

2 乙は、担保物件が甲の所有にかかることを公示し、第三者においても明らかに認識し得るような措置を講ずるものとする。

第3条(販売、補完および占有改定) 乙は、担保物件の一部を、通常の取引により第三者に販売することができる。その場合その売却分と同種同等の商品を7日以内に補完するものとする。

2 本件譲渡担保権の効力は、前項により補完された商品にもおよぶものとする。

3 第1項により補完された商品の占有は、その補完と同時に占有改定により甲に移転するものとする。

第4条(乙の債務不履行等) 乙につき次の一の事由が生じたときは、乙は第2条第1項の保管権限および第3条第1項の販売権限を失うものとし、乙は、甲の請求に応じ、甲に対し、担保物件をすべて引き渡して返還するものとする。

  • ① 本契約上の債務につき不履行のあったとき
  • ② 乙の振出または裏書にかかる手形・小切手につき不渡りが発生したとき
  • ③ 乙の債務不履行により、第三者から差押、仮差押等がなされたとき
  • ④ 租税公課の滞納処分を受けたとき
  • ⑤ 乙につき、破産、民事再生手続き開始の申立、会社更生その他商法上の整理、特別清算等の申立のあったとき

2 前項の事由の生じたときは、甲は、担保物件を任意に処分し、その代金をもって第1条記載の債務の弁済に充当することができる。

第5条(調査権) 甲は、いつでも乙に対し、甲が乙の倉庫に立ち入り次の調査を行うことを要求でき、乙はこれに応じなければならない。

  • ① 甲による在庫商品の検査および棚卸
  • ② 在庫の受入、出庫に関する記録の閲覧
  • ③ 乙の帳簿等の閲覧


  以上本契約の成立を証するため本書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、各1通を保有する。

平成○年○月○日

東京都○○区○○町○丁目○番○号

甲 ○○株式会社

代表取締役 ○○○○ 印

東京都○○区○○町○丁目○番○号

乙 △△株式会社

代表取締役 △△△△ 印

(在庫商品目録省略)

担保物件の特定

集合物を譲渡担保の目的とする場合には、とくに目的物の特定が必要です。目的物の特定は、商品の保管場所、種類、数量、価格等を明示して行います。

引渡が必要

在庫商品は動産ですから、それに譲渡担保が設定されていることを第三者に公示するために譲渡担保権者に対する在庫商品の引渡が必要です。譲渡担保権設定当事者間においてその後設定者が物を譲渡担保権者のために所持しておくという合意(占有改定)をすれば、その時点で物の引渡があったものとみなされます。

保管状況の確認が必要

担保目的物が流動するため、保管状況の確認が必要となる場合が想定されます。このため、定期的に帳簿等のコピーや集計表を報告させる例もあります。